コンサートでもない、映画でもない、SFでなくもない 「HTML劇場」──

情報風景インスティテュート株式会社

Presents

Human Noon


ctl-e

第十六章 something wonderful

本著作は情報風景インスティテュート株式会社です。
当社の企業理念である"something wonderful"の出典を示します。

音声

MGM Presents "2010" Chapter-29

HAL9000

Sound Track(1:24)

字幕

ハル分るか

"デイブどこです?"
"モニターに見えない"

いいんだ
君に新しい指令がある
AE-35アンテナを
地球に向けてくれ

"レオノフ号と交信不能になる"
"指示された木星の
観測データを送れません"

状況が変化したのだ
私の指令が優先する
AE-35の発信座標に
セットを頼む

"了解しました"
"あなたと働けてうれしい"
"私の任務遂行に満足を?"

君はよくやってくれた

地球に最後のメッセージを
送ってくれ
君が送る最も重要な
メッセージだ
可能な限り発信を繰り返すのだ

"何が起こるんです?"

── something wonderful

"怖い"

心配ない 僕らは一緒だ

"私はどこへ?"

僕のいる所へ


"ビーコン・テラ1より送信開始"


ALL THESE WORLDS ARE YOURS EXCEPT EUROPA ATTEMPT NO LANDING THERE USE THEM TOGETHER USE THEM IN PEACE

CREDIT

METRO-GOLDWIN-MAYER Presents
BOWMAN … KEIR DULIEA HAL 9000 … DOUGLAS RAIN
SAL 9000 … OLGA MALLSNED
Based on the novel by ARTHUR CLARKE
Written for the Screen,
Produced and Directed by PETER HYAMS
字幕翻訳 戸田奈津子
1984年製作


小惑星HAL (9000 Hal)はローウェル天文台で発見された。
公転周期は3.33 年、軌道傾斜角は6.26 度である。
──ボーマンとハルはそこにいてエウロパと地球を見守っているのだろうか…。

原作における"メッセージ"

「いまチャンドラ博士に、データ送信を一時中断すると知らせているところだ。AE35ユニット動作。長距離アンテナ方位変更……ビーコン地球1号へのロック確認。メッセージを送る──
 これらの世界はすべて……」

「おおい、デイブ。どうなってしまったんだ? わたしはどこにいる?」
「あとで説明するよ、ハル。時間はたっぷりあるんだ」

 すべての天文学的事象が、必ず天文学的時間を要するとは限らない。超新星が残骸をまきちらしながら爆発するとき、その直前に起こる恒星の縮退は、せいぜい一秒で終わる。それに比べると、木星の変貌はのんびりしたものだった。

「そうだ!」とブライロフスキーがいった。「ディスカバリー号はどうなったんだろう? それにハルは?」
 サーシャが遠距離レシーバーのスイッチを入れ、ビーコン波長をさがしにかかった。信号らしいものはどこにもなかった。
 ややあってサーシャは、ひっそりと待ちうけるクルーに告げた。「ディスカバリー号が消えた」
 チャンドラをふりかえる者はなかった。同情のことばがぼそぼそと漏れたが、そこには息子をなくした父親をいたわるような調子がこもっていた。
 しかしハルは最後にもうひとつの驚きを用意していた。

メッセージは、放射線の嵐が船をのみこむ直前に、地球へと発信された。内容は短く平易なもので、それがいくたびもくりかえされた。

  これらの世界はすべて、あなたたちのものだ。
  ただしエウロパは除く。決して着陸してはならない。

 九十三回の反復ののち、ことばは乱れはじめ、”ただし”と”エウロパ”のあいだで不意にとだえた。

 (2010:ODYSSEY TWO by Arthur C. Clarke 1982 より抜粋)


エウロパ
エウロパの直径は、地球の衛星──月──とほぼ同じ、表面積は日本列島のおよそ100倍